今週後半は、事業仕分けのニュースで一杯だった。民主党のもくろみは、無駄使いカットということもあるが、それよりも、国会議員が鋭い指摘で役人に一喝、国民に「政治主導」を印象付けて、いいところを見せたいというところなのだろうか。一時間に一本の案件を審議し、その必要性を「仕分け」るのが事業仕分けだ。
しかし、1日目2日目と見ていくにしたがって、これはなにかおかしいぞという思いが強くなった。

■国家ビジョンのないままになにを仕分けるのか
鳩山政権の国家ビジョンはなんだろう。明確なのは例の温暖化のことくらい。どのような国に日本を持っていくのかを閣僚の間でもきちんと合意し、国会の承認を得てから、事業仕分けを行わないと、節約のための仕分けという非常に低い視点でのものにしかならない。
■事業の要否の判断基準が不明確
「無駄使い」かどうかなのらしいが、仕分ける基準がよくわからない。国がやっていることには確かに無駄使いが多い。しかし、それぞれの事業にはもともとの意味がある。それらの事情を本当に一時間で斟酌できているのか、大変疑問だ。
■検討の俎上にのった絞り込み方が不明確
検討の俎上にのったのは、全体の事業の15%というプロセスがよくわからない。後述するが、これを取り仕切るのは、財務省主計局だ。彼らが、政治家を使って自分たちでは手に負えないような案件を仕分けたいというのなら、それはそれで、まあいいと思う。しかし、政治家がパフォーマンスできるような形に持っていこうとしている、あるいは彼らのほうが政治家を思うとおりに誘導しているとしたら、問題だろう。
■事業に将来への投資という考え方はあるのか
特に科学技術の分野で顕著だったが、科学技術に関してこれが今すぐ回収できるのか、どうかということは正直わからないだろう。それは、未来への投資であるからだ。しかしそれをなくしてしまえば、たとえば基礎研究などの企業がやりにくい分野について、世界から大幅に遅れることになり、国家的な損失になる。もちろん、その中は本当にすでに時代遅れのものもあるだろうが、知見のある人たちを入れた形で慎重に議論してほしい。
■これをやめることでなにを得るのか。
借金を減らすのか。それとも子供手当てで給付するのか。そこでこれをやめる代わりにこれをやるという比較考量ができるようにして見せてほしい。
なにもしないよりはいい、という観点はあるだろう。不完全でもやらないよりはまし。そういう部分もあることはあるのかもしれない。しかし、この荒っぽい事業仕分けで切り落とされるものの中に、本当に困る人がいるような気がする。
私はこの事業仕分けのフレーム自体が怪しいもののような気がする。民主党にいい顔をさせるようにしながら、財務省主計局が自分たちの筋書き通り仕組んだということではないのか。さらに言えば、小沢は事業仕分けが成功しないことを知っている。民主党内でも、前原グループや、野田グループなど、小沢グループと対立するグループつぶしではないのか。
入門行政の「事業仕分け」